海と運河がつむぐ7つの小樽の物語

03にしん

京の都でも愛され続ける
小樽の春を彩る地魚。

 「春告魚(はるつげうお)」とも呼ばれるニシンが3月から5月にかけ産卵のために大群でやってくると、海岸一帯の海が白く濁ります。これを「群来る」といい、この美しい青翠色の海が浜に春を知らせます。

 かつて一年で最も活気にあふれていた小樽の春。

 江戸時代中期から明治時代、北前船により北海道から大量に運ばれたニシン。中でもニシンを加工して作るニシン粕は、綿花や藍などの良質な肥料として西日本を中心に大量に消費されていました。当時の繊維業を支える上で欠かせなかったニシン粕は、日本の近代化を裏で支えた立役者と言えるかもしれません。

 明治30年代にピークを迎え、まさに一大産業であったニシン漁。巨万の富を得たニシン漁の親方たちは、豪華な御殿や邸宅などを建設。東北や北陸から出稼ぎにきた漁夫など多くの労働者が寝泊まりした番屋では、煮炊きの匂いがあふれ、威勢のいい掛け声や歌が響き活気に溢れていました。また、北海道を代表する民謡の一つ、「ソーラン節」はニシン漁の鰊場作業唄の一節で沖揚げする時の「ソーラン、ソーラン」と声を掛け合った沖揚げ音頭がルーツといわれています。

小樽観光で楽しむ!

小樽ではニシン漬けをはじめ、ニシンを使った郷土料理が今も根付いています。ぜひ本場の新鮮なお刺身やお寿司をお楽しみください。

  • にしん御殿 小樽貴賓館(旧青山別邸)
  • 小樽市鰊御殿(※休館中)
  • 茨木家中出張番屋
  • 民宿青塚食堂
  • ニシン漬け、甘露煮、数の子、ニシン蕎麦