海と運河がつむぐ7つの小樽の物語

05 北の商都 きたのしょうと

北日本随一の経済都市
その栄光を伝える史跡。

 昭和のはじめ、小樽で暮らしていた作家の小林多喜二は、小樽の港に北海道各地から物資が集まり、本州に送り出されていく様を自身の作品で「北海道の『心臓』みたいな都会」と表現しています。その言葉からも最盛期として栄えた小樽の姿が浮かんできます。

 商都として栄えた小樽は、大正末期、2 5行もの銀行が活動する「金融の街」でもありました。当時の一流の設計者が手がけた銀行建築が多く遺っており、明治から大正、さらには昭和中期までの建造物が建ち並ぶ景観は圧巻です。北海道のみならず、日本の近代化を象徴し、繁栄していたことが窺えます。

 さらに、日露戦争後、小樽から南樺太(現ロシア・サハリン州)に向かう航路の利用が盛んになり、商社や大手銀行が続々と小樽に進出。豪商と呼ばれる多くの商人が成功を収めていきます。ロンドンの小豆相場を動かして大儲けし、「小豆将軍」と呼ばれた高橋直治、海運業で成功した藤山要吉、板谷宮吉などはその代表格でしょう。財を成した豪商たちは私財を投じ、公共施設の建設など、小樽のまちの発展に貢献しました。今もその想いはまちの中に息づいています。

小樽観光で楽しむ!

日本銀行旧小樽支店から色内十字街周辺にかけては「色内銀行街」と呼ばれ、小樽を代表する歴史的建造物が多く現存するエリア。当時の面影を残す建物に、タイムスリップ感を味わえます。

  • 日本銀行旧小樽支店(金融資料館)
  • 旧三井銀行小樽支店(小樽芸術村内)※国重要文化財
  • 旧北海道銀行本店(小樽バイン)
  • 旧寿原邸
  • 小樽市公会堂・旧岡崎家能舞台( ※6月下旬〜10月末休館予定)